巫女になる日
その日は果実の収穫の日だったわ。
農場員でごった返す果樹園に
巫女であるアントワーヌさんが突然現れたの。
ふいにそんな事を言われて!
とてもビックリしたけど、
でも、巫女になることは
アタシの幼い頃からの夢だったから
申し出を素直にお受けすることにしたわ。
アントワーヌさんに連れられて
神殿に向かう足も
何だかぎこちなくて、フワフワしてた。
アタシ、遂に巫女になるんだ。
巫女になれるんだ❗️
期待とか希望とかが
胸でピョンピョン跳ねる一方で
アタシに巫女の大役が勤まるんだろうかって
頭の中ではすごく不安で💦
体が半分に裂けてしまいそう。
「さぁ着きました。アンシィ、中へ」
アントワーヌさんの声にハッとする。
これからシズニの神前で
巫女の引き継ぎ儀式が始まる。
アントワーヌさんの口上も
申し訳ないけど、
緊張で、全然頭に入って来なかったわ💦
でも💦
アタシが引き継ぎを宣言すると
パアッと眩しい光に体が包まれて
これまでの、歴代の巫女の先輩達の記憶が
脳裏に流れ込んできたの。
それは
新しい命をとりあげる喜びだったり、
子供達に教室で囲まれる姿だったりという、
暖かい記憶。
アタシは、溢れ出る涙を
こらえることができなくなって
その場に膝をついてしまった。
「大丈夫ですよ。
アンシィ、あなたなら必ずできますからね」
国民の服に着替えたアントワーヌさんが
優しく満ち足りた笑顔で
そっと抱きしめてくださりました。
そうね。
アントワーヌさんが認めてくれたんだもの。
「ありがとうございます。
先輩方に恥じぬよう勤めを全うします」
巫女の仕事が勤まるかどうかわからないけど、
1つずつ心を込めて、キチンとこなすこと。
そんな努力の積み重ねが大切なのかもね?